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お休みどころ 2004年10月8日 金曜日

  9月27日にお休みどころを訪ねてくださった(上島注:つれあいの義之さん、娘さんの暁子さん、一家3人でみえました。)倉本啓子さんから劇のチケットをいただきました。『ピエール・パトラン』。フランス中世の笑劇。10/1、10/2と2晩劇を見て、僕はそのまま7日まで堂園実習、というつもりで聖好さんと出かけました。
 出発してすぐから聖好さんが発熱。(上島注:熱はほとんどなく、たんに体調をくずしただけです。)なんとか劇を見たものの、堂園(どうぞの)メディカルハウスの霊安室で聖好さんは寝たきりとなりました。
 3日に聖好さんが帰りつき、やれやれ。とおもっていると、4日に友人の伊左次(いさじ)悟くん(医師)から電話。「いま博多。明日会いにいく」というのです。
 せっかく伊左次くんが来てくれるのだから、お休みどころを見てほしい、とおもいましたが、僕は鹿児島。あきらめて、いっしょに鹿児島での活動をみてもらうことにしました。
 伊左次くんは岐阜県立病院で研修中。7日の夕刻までに帰らないといけません。(上島注:医学に行き詰まりを感じていた伊左次くんは、神田橋條治さんに会い元気づきました。堂園メディカルハウスのようこそ精神にも、励まされてたそうです。)5、6日、堂園と神田橋先生を見たあと、伊左次くんが言いました。明日レンタカーを借りてお休みどころへ行こう。フェリーで桜島にわたってドライブしよう。
 翌朝7時すぎに堂園出発。プリンセスマリン号で海を渡り、溶岩原から錦江湾(きんこうわん)へと車で走りました。お休みどころの「お守り」(上島注:お地蔵さん)に溶岩ひとつ車に積み、ゆっくり水上村へ。12時前に着き、3人でお昼ごはんをいただいて。1時すぎ伊左次くんは出発していきました。
       興野康也

 10月1日、神田橋先生の治療を見せていただきました。患者さんに無心に薬を合わせるその後ろ姿。気功をする立ち姿。「先生に太古の風を感じます。」とおもわず声を発すると、くるりと振り向いて「その言葉、あたっていないこともないんだ。ぼくは病気ではなく、命そのものを元気にしようとしている。」と先生。
 「いまのわたしに一体何ができるのでしょうか。」ウツの女性の重たい訴えをきいたあと「あなたはまだあきらめていない」とポツリと先生。彼女の顔がパッとあかるくなった。
 芸能としての医。芸術としての治療。
 こおったいのちを天ノ岩戸からひきだすアメノウズメにも似た技。先生は桜島に似ている。太古の悲の山、火の山に。首のあたりに雲と風をなびかせている。そんなことを、おもいつつ『メートル・パトラン』を観れば、これもまた、愉快。ウソ八百大言の弁護士ピエール・パトランの歌と踊りに笑いました。そう。「ビンボーは福の神。」パトラン先生のいうとおり。フフンランランと眠りにつきました。
 さて、翌日から起きられません。旅先で寝つくとは。しょうがない。堂園さんに甘えさせていただこう。
 5F霊安室(いちばんいい場所を霊安室にあててあります。ここにいつも泊めていただくのでした。)の隣には天国の池とよばれる小さな池があります。窓ガラス一枚隔てて、黄泉(よみ)の国から水の国。
 そこに住むカメがコツコツと窓をたたきます。
 キセキレイがやってきて、ツイッと石の上に止まります。
 きれいな水のところにしかいない鳥なのに、どうしてここに。ぼおっと考えていると、堂園文子さんが、アイスノンを持ってきて下さいました。(あつい葛湯もいただきました。) 霊安室。すてきな命名。まさに、霊の安らうところ。
 「不知火」奉納能にも、遊ばせてもらったな。能のはじまる直前、舞台の上にサギが一羽とんできたとおもったら、ハタと止まり、ツイと身をひるがえし、帰っていった。
 そして、つづいてもう一羽。同じふうにして。
 はじまりを告げた。
   みなさん、この世は夢舞台。
   とくとお楽しみ、ご覧あれ。
   いえいえ、ともに、舞い上がれ。
 あとはただ、美しいものがたゆたゆと舞って、去っていった。
 静寂のあとに、残されたものは、十三日の月あかり。
 夢だったのか。私は何を見ていたのだろうか。それにしても、この私って、誰だろう。
 「生きよ。それだけが伝わりました。」交流会の席で不躾にも梅若六郎さんにそういうと、梅若さんはぐいっと目を見開いて、ちからをこめてこう言った。「生きねばならないのです。」
 霊安室に漂っていると、コホンゴホンとからだの奥でしぼりだされるような咳の声がきこえてきました。肺がんのKさんの咳の音。生きよと響いてまいりました。
    上島聖好
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